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蛭子能収氏インタビュー 「世界にはばたけ!蛭子さん~そもそも、なぜ漫画家に?~」 (5/5)

10/09/05 10:30

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5 これからの漫画家へ

― そういう精神も昔のガロの方々に通ずる精神だと思うんですが、昔と今で違いというのを蛭子さんは感じたりしますか?

やっぱり昔のガロは他の漫画には無い凄く斬新な漫画だったんですよ。
だけど、今はそれらも全て斬新じゃなくなってる。
アックスに色んな俺たちに似たような漫画家がいっぱい出てきてるけど、それはもう斬新じゃないんですよ実は。斬新なのは俺達のところで終わってしまってるの。
俺たちの頃は、まだそういうのが少なかったから
「うわ、これ面白いな~、変わってるな」って言われてたんだけど、
今はいくら俺達みたいなのが出てきてもあんまり驚かなくなったよね。
俺は何かそういう
今の新しい人達って可哀想だなって思いますよホントに。
だから、今から出てくる人達は本当に中身をね、もっと人を面白がらせるような。
本来の漫画の姿に戻っても良いんじゃないかなって思うんだ(笑)
だけども、もしかしたらまた新しく生まれて来るかもしれないし。
まだまだ色んな人がいるから。
でも、うーん・・・・何て言うか分かんないけど(笑)
とにかくもう斬新じゃないって事は言えると思うんですよ。
だからもっと、そういうのをまた打ち崩すようなのを描かなくちゃいけない。
だから難しいと思いますよ。

― そうした、これからの漫画家に対して蛭子さんからメッセージはありますか?

今アックスだけに描いてる人達はまず食えないですよ、ほとんどね。
だから他の道で食うことを探さなくちゃいけないんですけど・・・
とりあえず、今の漫画家さんに共通して言えるのは
とにかく、その漫画で食えないんだったら、そっちはもう趣味に徹する。
「他の仕事をしないといけない」っていうのは肝に銘じておかなければいけないと思うんですよ。本当はそれがお金になれば一番なんだけど。
まぁ、「趣味に徹してちゃんとお金を稼ぐ絵を描く」っていうのが大事だと思います。

― 仕事をするという意識が大事だと?

うん、そうしないと。
お金がないと人間がダメになって潰れていくから。
ボロボロになっていくんですよね。
昔は多少お金が無くても、誰か助けてくれる人がいたような気がするんですよ。
でも今はもうそんな奇特な人はいないよ。
だから、ただアックスで描いててお金が無いっていう人達は
ダラダラーって消えていくだけのような気がするんですね。
要するにアックスで好きな絵を描く一方で、ちゃんと売れるようにイラストを描いたり
何かこう積極的にさ。もう可愛い絵でも良いじゃないですか?そっちの方は。(笑)
とにかく、そっち方面でお金を稼げるようになって下さいって言いたいね。

― やはり、そういう部分は今も昔も同じですか?

いや、今の絵を描く人に限らずに若い人達は「職が無い」って言ってるけど
それは凄く職に対して贅沢になってる気がするな。自分の嫌な仕事はしないような感じで。
好きな仕事はなかなか無いのに「じゃあ嫌な仕事をやるか?」って言ったらやらない。
だけど、そういう事じゃなくて
俺たちの頃はお金を稼ぐ為には嫌な仕事もいっぱいやってきたから。
「とにかく生活費は自分の手で稼ぐんだ」っていう意識が凄くあったんですね。
だから今の若い人達は甘いんですよ。
何か好きな事だけやって「お金が無い」って言ってる人達に対しては・・・俺は本当に心配してます。もうちょっと・・・仕事は妥協しつつ。(笑)

― 最後は妥協ですか(笑)

いや、大事なんですよ本当に。
最近はお金を持ってない若者が多すぎるよ!本当に。

― 確かに「お金にしなければならない」っていう意識は大事ですよね。

それは凄く大事。
俺はサラリーマンを辞めて漫画家になった時に
「どうやってサラリーマン時代のお金を漫画で稼ぐか?」って事を
ずっと計算してましたもんね。
どんな小さな仕事でも
「これで1万円になった、2万円になった」って積み重ねて換算して。
それがサラリーマン時代の頃の給料になった時には「ヤッター!!」ってね。
「これで俺は絵でメシを食ったことになる!」って思ったから。
そう思う事によってね、妥協した絵も描かなくちゃいけないけど
サラリーマンよりは良い訳だからさ、好きな道なんだしね。



― 漠然とではなく、やはり数字に起こして?

そうそう、数字に書いて
毎日毎日「今日はいくら?」って書いていくと意外と増えていくんですよ。
やっぱり、それが何か努力していくことになるんじゃないですか?
わかんないけど(笑)
でも、今は俺も減ってきてるんだよ。
どうしようもないくらい減ってきてるよ(笑)
どうしようなかってくらい・・・・本当に・・・

― でも、今の蛭子さんのアドバイスが刺激になっている方もいるはずですよ。

そうかな?

― では最後に蛭子さんはハッテンバプロダクションも含め、これからはどういった展開をしていこうなどありますか?

俺は最近漫画を8ページ描くのにも四苦八苦してるから・・・
だから1枚の絵を、もし本当に外国人が買ってくれるんだったら良いんだけど。
とにかく、外国でも安いよね。
昔のハナシだけど例えば根本さんの漫画も外国で出版されて5万円っていうからさ
ちょっと安いんじゃないかなと思う。
全部でだよ1000部刷って印税が5万円だよ?まだ安く見られてるなって思うのよ。
(根本敬 註:「いや、少ないことは少ないけど、あと10万ちょっとは貰ってます」)
これじゃ食っていけないから、ハッテンバプロダクションとなってこれをなんとか高く売れるように。
だから、外国もそんな生易しいもんじゃないなって思った。
外国人に気に入られたからってだけで舞い上がってたら
お金にならなくてキュウキュウになっちゃうなって。

― 厳しい道かも知れませんが、その名の通りハッテン(発展)してくよう応援しています。

有り難うございます(笑)

蛭子さんらしいというか、何かとお金の話になりましたが、
要は蛭子さんはお金を通して非常に現実主義な方なんだと感じました。
「漫画で食べていければ」という理想も大事ですが、「実際いま漫画で食べてれてるのか」という現実を見つめる事も大事なわけで、その理想と現実の間を計る尺度として、蛭子さんは軸を絶対的に「お金」と置かれているんですね。
そういう人を「がめつい」とか「いやしい」と言う方もおられるかもしれませんが、でも実際のところこれは非常にリアルな事だと思います。
もちろん「お金」にとらわれすぎて当初抱いていた理想を見失ってしまってはいけませんが、
時が経つにつれて「まぁ、いいか」となって理想から遠退いているのに気づかずダラダラーと続けてしまうの事も危険です。
やはり、それまでの過程の間に理想と現実のバランスをしっかり意識する事は必要ではないのでしょうか。
そこで皆さんも蛭子さんの教えのように家計簿をしっかりつけてみてはどうでしょう?
すると、理想の為にはドコを妥協すべきか見えてくるかもしれませんね。(笑)

(取材:ハヤマックス)



※このイベントは都合により中止になりました。
蛭子能収展
日時:9月2日から9月28日まで(平日12時より23時、土日12時22時/水曜日定休)
会場:55CAFE
入場料:ご来店の際は1オーダーをお願いしております。
アクセス:田園都市線 二子新地駅より徒歩30秒
詳しくは⇒ http://ameblo.jp/fiveandfive/entry-10615199676.html


蛭子能収 (えびす よしかず)

昭和22年10月21日生まれ。長崎出身、O型、天秤座、長崎商業高校卒。
看板店、ちりがみ交換、ダスキン配達などの職業を経て33歳漫画家に。
その後TVにも出演。現在「蛭子コレクション」全21冊のうち7冊発売中。
作風は不条理なギャグやギャンブルについての4コマ漫画、あるいは暴力的なモチーフを多用して内面のダークな世界を描く短編で知られる。

WEB) 蛭子能収 OFFICIAL WEB SITE
BLOG) エビスのシネマミシュラン




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