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graffiti / TACO 信田英司さん インタビュー

09/05/27 17:03

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高知県は高知駅より徒歩15分のところ

江ノ口川の畔にあるのは、50年以上の歴史を持つ藁工倉庫が立ち並ぶ風景。

一見ただの田舎の景色と思いきや

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中を覗いてみると・・・

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そう、ここがアートショップ

 graffiti  (http://www.graffiti-museum.com/) なんです!



外装は残しつつ

店内には現代芸術作品をはじめ、書籍やギャラリーがありまして

作品を見終えた後は

併設するカフェで語り合うことも出来るという素敵な空間なんですが・・・

 

「ここ何屋?」ってね。最初は不信がるのよ、日本人は。

 

そう語るのはraffitiの主宰者こと信田英司さん。

 

信田さんは

「若い人に刺激を」という思いからgraffitiの運営をしながら

もっと社会と繋がりを広げたいと

05年に ART NPO TACOhttp://info.taco.moo.jp/

というNPO法人を1人で設立し

高知県内における

様々な分野のアーティストの制作・発表活動への支援を通じ

地域の活性化を図ろうと

書籍の発行、アートイベントの企画運営などを行っている。

 

そこで今回は

そんな信田さんの「TACO」の活動に注目し

「なぜ高知なのか?」「なぜ1人なのか?」などお聞きしました。


 


 

「トレンド」・「田舎」・「アート」の繋がり

 

―もとはデパートのディスプレイをされてたんですね。

 

そうそう。

でも、デパートが望むものはいわゆる「流行モノ」。

トレンドとか一通り勉強したんやけど、

そういうのは大多数の人の意見でするから全然魅力ないでしょ。

だから、いまデパートが衰退してるのはトレンドばっかし追っかけるから。

やっぱり流行を追っかけると、すぐに飽きられるからね。

違う価値観をつくっていかないと。

そこで僕の場合はいわゆる「ローカル色」を中心に。

こういう場所を拠点に置いてね。

 

―静かで良い場所ですよね。どういう人がよく来られるんですか?

 

やっぱり地元の若い子が多いかな。

でも、ほとんどが都会から帰って来た子やから感覚は結構鋭いもんがあるよ。

「田舎に来ても何も無いよ」とか「刺激が無いよ」とか言う声もあるけどさ

それを「無い、無い」と言うんじゃなしに

「自分らでつくっていこう」とね、楽しみを。

それで、こういう活動を始めたのね。

 

―さっき知ったんですけど、ここには色んな人が来られてるんですね。

 

今回の明和電気さんなんかもそうやけど

やっぱり同じ感性を持ってる人やから、すぐお友達になれるしね。

今までには村上隆も来たりしてるよ。

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↑この日も、色んな人が遊びに来てました。

(※左の黄色ポロシャツが信田さんです)

 

そういう都会の人が田舎に来た時には違う意味で刺激があるんでしょうね。

実際、都会では目まぐるしく情報は溢れてるけど

自分がやりたいモノが与えられるモノばっかしでさ。

だから、「自分で作っていく」っていう余裕が無いでしょ。

 

―ここに来て改めてそういう事を再認識するんですね。

 

自分を振り返る時間とか場も必要だし。

むこうで色んな刺激はあるけど見失う人が多いね、本来の目的を。

 

―都会に出るとインスパイアされものが沢山ありますもんね。

 

そう、だからトレンドを追っかけるのはね

正反対って言うか、周回遅れのトップかもしれんわけよ。

古いモノと違う価値観が絶対にあるはずやからさ。

だから日本全国そういうのに気がついて

エコみたいなのが最先端になってくるの。

田舎には田舎の良さがあるけど

田舎に住んでる人はその良さに気づいてなくて

田舎に帰って来た人が、その良さに気づいてくるような。

ここの場合はそういう事もあって若い人がいっぱい来られる。

 

―なんか古いモノと新しいモノが縦線上じゃなくて、円で繋がっているというか?

 

そうなると理想やね。

だから、こういう場所に戻って来て、

また都会に行って新しいモノと融合されたら面白いよね。

僕は目的持ってないっていうか、骨が無い人間が好きなもんでね。

ほら、ここの「TACO」ってのも軟体動物でしょ?

 

―そうですね(笑)

 

目的持った人はそれしか見えないの、価値観も視野も広がってないというか。

自分の好きなことにはトコトンするけど、一歩離れたら多分・・・うん。

道を極めるとか、やりたい事を目指す人は多いけど

それはそれで自分を狭くしてるかもしれんしね。

そういう人の話はさ、結構聞いてもつまらんのよ。

 

―同じモノしか見えてないから?

 

うん、見えてないから。

もっと違う価値観とか考え方があってもいいのに。

日本の芸術はすぐジャンル分けするの、洋画・日本画・書道とか。

そういうとこは縦社会なの。

そんな国が作った制度の中にあるものは若い者にとっては魅力ないでしょ?

やっぱり、色んな表現があって良いはずやし

世界的に見てもアートっていうのは表現する自由があるからね。

でも田舎は特にそういう場が無いもんで。

だから、ここに来られた色んなアーティストの方も喜ばれるような

1つのムーブメントとして出来ればなと。

 


 

「TACO」から広がる選択肢

 

―「TACO」では映画祭(※1)であったり、いろいろ発信されてますもんね。

やっぱり、皆にもっと色んなモノを見てもらいたいというような?

 

選択肢を広げたいっていうかね。

TVなんかもそうだけど

色んな時間に自分の見たい番組をチョイスできるでしょ?

だから、ここはそういう色んな選択ができる場であって欲しいし。

自分もそうだけど

ある何かに興味を持ったらそれをするけど

また違うものにも興味が沸いてくるしね。

人間は一生同じことを考えるわけじゃないからさ。

例えばさ

今はアニメとかオタク文化も逆輸入される時代やからマンガも美術の主流でしょ?

でも美術の先生は「マンガみたいな絵描きやがって」何て言ってたけど

そういう人は1つのものさしでしか物事を見てないの。

だから本質が無いよね。

 

―そんな「TACO」から発信されるムーブメントをどういう方に1番見てもらいたいですか?

 

やっぱり子供たちかな、1番感受性が高いし、物事にも刺激を受けるから。

それに子供たちは自由にするでしょ。

子供の感性いうのは凄いよ、目からウロコじゃないけど。

ただ色んな知恵が入って、皆その感性をだんだん忘れていうから。

学校になると、色を使うにしても先生が指導をするから

枠にはめられてしまうじゃないですか?

「いっぱいに描きなさい」って言ったら、皆いっぱいに描いたりしてね。

 

―素直に先生の言うことを聞いちゃいますもんね。

 

そういう枠にはめるっていうのは可哀相やと思うわ。

アートの世界を点数で差をつけるべきではないと思うし

みんな個性があるから、その個性を伸ばすことが出来ればね。

どんな世界でもそうかもしれんけど、オリジナルを大事にして欲しい。

上手くデザインして、表現できても

それがどっか見たことあるような作品ではね・・・

数学と違って答えがあるもんじゃないから、教えられるもんじゃないし。

答えがあるっていうか、無限なモノやから。

「全てが正解や!」みたいなトコでしょ。

 

―「こんな事したらアカンのかな」なんては思わずに?

 

そう、どんどんやってね。

ウチなんかも色んなアーティストが来るけど

そりゃ上手い奴もいるけど・・・何か薄っぺらいっていうかね

そこにオリジナルが無いと人は感動しないよ。

そやから、ここはなるべく自由に発表できて

発表だけや無しにコミュニケーションできる場にしたいし。

東京でそういう美術館があるかっていうとそれが無いの、

美術館はやっぱりハコ主義やから。

「芸術はゆっくり鑑賞しなアカン」って

おしゃべりは出来ない、お茶も飲んだらイカンし、

タバコも吸えないでしょ今は。

何かだんだん変な社会になってるからね、

ここはなるべく制約を作りたくないの。

だから、気に入らない人もいるかもしれないけど

それはそれでね、仕方ないかもしれないけど

そういう人にも違う見方、楽しみ方を見せたいしね。

 

―でも、ホントここは難しいことを考えずにゆっくりできる空間ですよね。

 

そんなもんを目指してるしね。

都会には人もモノも溢れてるけど余裕がないから。

だから未だにみんな自分探ししてるからね(笑)

あまりにも、情報もモノも溢れ過ぎてるから見失ってる人が多いよ。

流行を取り上げてトレンドに乗っかれば安心できるんやろうな、価値観とか。

実際は価値観あるようで持ってないかもしれんのに。

イタリアンが流行ったら、ミシュランガイド見て食べに行ったりするんやろ?

僕は、「それ本当?」って思うけどね。

皆がグルメって言うけど本当に味わかってんのかなって。

そういう、ものさしが無いと安心できないんやろうな。

 

―ミシュランに載ってなくても、行きつけの定食屋とか自分にとっては美味しいですもんね。

 

お腹空いて無いんやろな。

本当にお腹空いとったら

1つのおにぎりでも美味しく感じるからね、1杯のお水でも。

 

―それに、腹ペコの吸収力は凄いですよ!

 

それが分からんようになってしまうんやろな・・・

僕も変にこだわってる人間なんかもしれんけど

とりあえず自分らで楽しみをつくって、楽しんでやろうと。

今回も明和電気さんが来られてね、やっぱり刺激もあるし。

若い子にこういうモノの見方とか知ってもらいたいしね。

ネットでなしにリアルなモノを見て、

足を運んでお話したら余計に物事がはっきり分かるやろし。

だから、本来はネットをやめてその時間があれば本物を見て欲しいなって。

そう思いながら、この空間は自分で決めないで

その時々に使って頂く人に合わしていきたいっていうか・・・・

なんしか、「1人NPO」なんで大変ですわ(笑)

 

―ははは(笑)でも1人のほうが好きなこと出来るんじゃないですか?

 

やっぱり難しいよね、多数決だと意見とか全部違うからね。

それをまとめる事っていうのは到底無理。

特にこういう個性のあるアーティストっていう場合は

まとめようっていうか・・・まとまらんから(笑)

まとめようって思ったら無理や。

だから好きなような表現をさせるのが1番いいよ。

 

―アーティストにしては、信田さんのような「場」をつくってくれる人に感謝してますよ。

 

(終)


※1:BISTRO DE CINEMA シネマの食堂2009』

シネマの食堂2009.jpg

―27人の映画ギャルソンたちが、美味しいシネマをご紹介。-

といことで、

5~7月の間に高知県内にて、洋・邦画や時代関係なく選ばれた名作を映画を上映。

   [問]シネマの食堂2009情報:088-822-7486(四国文映社内)

 



 

【後記】

小腹が空いたのでgraffitiにてタイカレーを食べたのですが

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これがまたメチャクチャ美味しいんですね!

FOODメニューは季節によってさまざま


その後も江ノ口川を見ながらボーっとしたり

アート作品や書籍などを眺めたりしていると

あっという間に夜になってました。

その日は『漫技展』の最終日ということもあり

http://www.project-max.com/2009/05/post-36.html

夜からgraffitiにてイベントを開催!!

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気がつけば、1日中graffitiにいたのですが

これが何とも心地よく、何なら明日も来たいというような

不思議な時間の感覚なんですね。

きっとこれも、改めて気づく田舎の良さの1つの気がします。

 

是非とも皆さんも高知に来た際にはgraffitiによって

日頃忘れかけていた

既にそこにある「何か」を体感してみてはいかがでしょうか?

graffiti
高知の江の口川の畔にたつ小さなギャラリー。
作品の発表の場としてだけでなく、アーティストたちのコミュニティーをつなぐ空間。
HP http://www.graffiti-museum.com
BLOG http://graffiti-blog.seesaa.net

ART NPO TACO
高知県内における様々な分野のアーティストの制作・発表活動への支援を通じ、地域の活性化を図ることをめざして設立した特定非営利活動法人
HP http://info.taco.moo.jp

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