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駕籠真太郎氏インタビュー

10/01/13 14:41

2009年11月に開催した漫画家トークイベント第14弾
「駕籠真太郎の奇想電影上映+奇想イラスト教室」
の終了後、打ち上げにて駕籠さんの話を少し録音させて頂きました!

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イベントというのは生モノですから
やはり事前に使おうと思っていたトークテーマを結局使わなかったり
なんて事はよくあるんですね。

そうです、今回はインタビューと称しました『こぼれ話』ってやつです!


ボーダーラインについて

―イベント中に聞き忘れたんですけど作品の中でボーダーラインってあるんですか?ココまではやってはマズイかなっていう?

それは、おそらく一般的にタブーとされているものをやっちゃうと単純に攻撃があるからっていうラインですね。
いわゆる皇族関係とか差別関係であるとか創価学会であるとか
一番怖いのはイスラム関係だと思うんですけど
それはさずがにやっちゃマズイかなって。

―命に係わることになりかねないですもんね。

そうなんですよ、暗殺者が来ちゃいますからね(笑)
でも昔に比べると暴力的な描写に規制がかかってるところはありますから。
格闘マンガとかそういうのは良いんですけど
女性に対する暴力とか、そういうのはかなりダメみたいところが強くなってきてますね。

―けっこう言われますか?

直接には言われないですけど
例えばコンビニに置けないとかそういうカタチでくるんですね。

―コンビニにヤクザの本とかはいっぱい並んでますのにね(笑)

ヤンキーとかヤクザはまだ大丈夫みたいなんですよね。
ただコアマガジンとかマッドマックスとかわりと出してるんですけど
昔はもっと実際にあったヤクザ系ではない事件とかをネタにしてたんですけど
そういうのも最近はマズくなってきたみたいで、実際にあった殺人事件とか。
そういうの実録モノの仕事もやってたんですけど
最近はバッタリ減ってしまって・・・

―出版社もそこまでリスクは負いたくないと。

コアマガジンの主流はコンビニみたいでして
コンビニに置かしてもらえないとなるとアウトなんですよね。
その他で言えば・・・あっ、WEBでマンガとか読まれます?

―僕はあまりWEBでは読まないんですけど最近増えてますよね。
だけど無料が主流で、なかなかビジネスでは難しいそうですね。

でもエロは問答無用で売れるんですよ。
エロ以外が果たしてビジネスになるかどうかってとこなんでよね今。
エロは何したって売れますから商売としてカタイんですよね。

―iphoneのアプリなんかも、タッチパネルで女の子のスカートをめくるようなのが人気ですからね

やっぱり、下半身の欲望にはかなわんなって気がしてて。

―やはりエロには行き止まりがないんですかね?

それは、不滅じゃないですかね。



ギャグについて


―でも駕籠さんの作品はエロというよりもギャグな部分があって、一概にエロマンガとは言えないですよね?

そうですね、一応ウィキペディアのカテゴリーだとエログロになってますからね(笑)

―その辺りのこだたりってあるんですか?

10年ぐらい前までは、そんなに自分でも気にして描いてたわけじゃないんですけど・・・
例えば「駕籠さんの作品って凄いいっぱい人が死んでますね」って言われて
「そういえば、いっぱい人が死んでるな」って思うんですよ。
確かにそういうネタが好きではあったんですけど
「そんなに描いてたかな?・・・あ、そういえば描いてたわ」って。
自分でも人から言われて再確認するっていうのはありますよね。
あんまり僕が描いてるマンガに特化した雑誌があるわけじゃないですから。

―でも最終的にどの作品でもギャグは入れてますよね。

そうですね、最終的にはギャグにしたいなってところはあるんですよね。
イベントに持っていった物販のやつも、かなり不謹慎なやつが多いですけど
最終的にはカタチにすることでギャグにもっていってるつもりなんですよね、僕は。

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―物体化することがギャグと。

「ホントに売ってるよ」ってみたいなのを含めてネタのつもりなんですけど僕は。

―オランダでの展覧会された際も、外国の町並みに駕籠作品が並ぶことがギャクというか。

それを驚いてるアムステルダム人というのも含めてネタっていう。



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-やっぱりギャグはお好きですか?

そうですね。小中高生のときに影響受けたものはいっぱいありましたけど
やっぱり「笑い系」が多いんですよね。影響受けたものって。

―じゃあ、ルーツはそこにあるんですね。

僕が純粋なエロが描けないっていうのは
どっか物事を客観的に見ちゃうところがあるんですよ。
例えばラブコメとか恋愛モノとかもそうなんですけど
アレって恋愛してる人間達にとっては真剣だけど
ちょっと離れてみると意外とギャグだったりすることあるじゃないですか?
「何やってんだコイツ?」みたいな。
タイタニックとかも、船上であんな事やってんのも
傍からみたら何やってんだコイツら?ってなるじゃないですか。
そういうふうに見るか、本人達の気持ちになって見るかどっちかですよね。

―わざわざ、こんなトコロで?っていうような

そうなんですよ。
僕はどっちかいうと、そういう見かたをしちゃうので
真面目なエロや恋愛が描けないんですよ。
たぶんその視点の違いじゃないですかねギャグにするか、できないかって。
普通にエロマンガ描いて
女の子が「あぁ気持ちイイ~」なんて言っても
ちょっと傍から見ると、「演技してるに決まってるだろって」って。
そういう冷めた目をどうしても僕は入れちゃうんですよ。

―じゃあ、キャラに感情移入しちゃって勝手に作品内で動き出すっていうのは?

う~ん、やっぱり客観的な方向にいっちゃうかもしれないですよね。
結局、真面目にやってる人が最終的にバカを見るみたいな(笑)
でも思うんですけど
そういうある種、自分を騙せる人が世の中売れてる気がするんですよ。
恋愛も客観的に「そんな事はないだろ」と思いつつも
きらびやかな世界に自分で浸って描けるような人の方が売れるような気がします。
たぶん日本では。

―それは意図的にですか?

描いてる本人はどうかわかんないですけど
ある程度こう、自分を騙して描かないとラブコメとかなかなか描けないですから。
やっぱり日本のドラマって結局は真面目な感じとかが多くなって
あんまりコメディタッチとかって受けにくい気がするんですよね。
なんか「お笑いブーム」とか言われてても
結局はそんなに変わんないような気がするんですよ。
映画なんかでも、学校の教師と女子生徒の淡い恋愛とか
何かそういうのが結局大ヒットしちゃったりするんですよね。
彼氏と彼女のどっちかが難病であと一年の命だとか(笑)


描き下ろし漫画について

―結局、昔と今も基礎となる部分は一緒なんですかね?

なかなか、新しいモノをつくるのは難しいですからね。
一人の作家で生み出せる力って、そんなに無いと思うんですよ。
あとは結局、同じようなネタをいかに色んなカタチやパターンで出来るかってことなんですよね。その辺の引き出しが多い人の方がたぶん長生き出来るんだと思うんですけど。

―では、今の「駕籠スタイル」というのは意図的に作られたのですか?

う~ん、まぁ色んな連載など頂ける用になってから色んなパターンをやろうっていうのはありましたよね。

―じゃあ、まだまだ色んなパターンをやってみたいというのはありますか?

そうですね、特に今回(09年11月7日発売「フラクション」)の作品はそうですね。

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やっぱり単行本が全般的になかなか売れなくなってきているというのもあるんですけど、
いっそのこと一冊を丸々描き下ろしの作品
っていうのも増えてもいいんじゃないかというのがあったんですね。
ミステリー小説は結構あるんですよね、完全描き下ろしで出すっていうのが。
というか、それがメインだったりするんですけど。
マンガだと描く労力が全然違うんですけど、
もうちょっとそういうのがあってもイイんじゃないかなというのがありまして。

―でもマンガは小説よりもコストパフォーマンスが大きいじゃないですか?
やっぱり連載にして原稿料をもらう方が効率が・・・

そうなんですけどね。
だけど描き下ろしだからこそやれるネタっていうのがあると思うんですよ。
連載だと中々やりにくいネタとか、雑誌には載せられないネタとかもありますし。
雑誌には載せられないけど、単行本ならOKっていうネタもわりとあったりするんですよね。

―実は僕も最近、そうした描き下ろしの単行本を自己出版で出しても、ネットとかで買えるような土俵が盛り上がっていけば随分変わってくると思うんですよ。

例えば5000人の読者が全国にいたとして、その5000人の読者に毎回確実に売れるとすればひょっとしたら自己出版でもいけるんじゃないかという気はするんですよ。

―僕もイベントをしていて感じるのが、「行きたい」という人は絶対にいるんですけど
そうした人たちにいかに情報を伝えるのかというのが難しいんですよね。
そういうツールを作っていこうと試みているんですけど、最近はイベント自体がツールなのかとも感じているんです。

やっぱりイベントとかだと物販も売れますもんね。
そういう意味ではコミケはデカイですよね。売れる人は凄いですからね。
何百万っていう単位で売れる人もいますしね。
やっぱりコミケとかそういう系列で売れるジャンルはあるんですけど
僕みたいな作品はあんまり売れるモノではないんですよね。

―ちょっと違いますよね。

絵のタッチとかも全然違いますし。

―ギャグとかはコミケでは難しいですか?

だから出版社には盛り上がって欲しいんですけどね。
ただ、昔みたいな出版のありかたじゃ存続は難しいんじゃないかとも言われてますもんね。


理想とコストパフォーマンス

―色々と試みたいところもあると思いますが、やはり描くのが忙しいですか?

どうしてもマンガは時間が掛かっちゃうんですよね。
昔に比べるとパソコンで描くというやり方がかなり確立してきているんで、かなりスピードアップはしてきているはずなんですけどね。
今なんか実際に撮った写真を線画風に加工するとかありますもんね。

―その加工が作品とマッチすれば良いんですけどね。

今のところは皆、似たりよったりな背景になっちゃってるんですけど。
でも、どうも大抵の読者さんはあまりそこまで見てないというのもあって(笑)
別に背景が他の人と似ててもイイじゃんっていうのがあるような気がするんですよね。
でも、やっぱりその辺はこだわりたいトコなんですよ。

―駕籠さんとしては、やはり背景も書き込みたいですか?

やっぱり書き込みの凄さっていうのは単純にそれだけでスゴイっていうのがあると思うんですね。単純に「コレ、どんだけ時間掛かってんだ?」っていうような。

―それは全てのコマでですか?

理想はそういうトコありますよね。全てのコマの背景がもの凄く細かいっていうような。
なかなか時間的に難しいですけど、1日1コマくらいのペースで(笑)

―そこまで書き込むっていうのもギャグになりそうですね。

割とそういうところあるんですよ。「何でそこまで?」みたいな。
でもパソコンが発達しすぎると「結局パソコンでやってんだろ?」って思われちゃマズイなっていうのがあって。

―なんか悔しいですよね。

映画なんかもそうじゃないですか。最近CGが多いんで結構凄いことやってんのに「これCGだろ?」って思われちゃうみたいな。
トランスフォーマーとかも結構ミニチュアを使ってたりする部分もあると思うんですけど見てる側はそんな細かいとこまで気にしてないだろうし。

―確かに・・・気にしてませんでした。

僕なんかは昔から特撮系が好きなんで、そういうトコを見ちゃうんですけど・・・
気にしない人は気にしないんでしょうね。

―たぶん大半の人は気にしてないと・・・

でしょうね(笑)
たった1秒のシーンに何日も掛けてたとしても、たぶん誰も気にとめないでしょ。
マンガでも結構そういうトコありまして
見開きのもの凄い緻密な絵を描いたとしても、読者は「ペラ、ペラ」で終わってしまう。
一瞬ちょっとは目に止まるかもしれないですけど・・・
その辺になるともう作者のこだわりですよね。
分かる人だけ分かってくれればいいっていう感じで。

―結構そういう要素を作品に入れることは多いんですか?

必要以上に細かく描くっていう事はありますね。
どう考えても、この原稿料にこの手間の掛け方は割に合わないだろうっていうような(笑)
でも、やっちゃうんですよ(笑)

― 完 ― 

【後記】
話の中でもありました「描き下ろしでしか出来ないネタ」のくだりですが
実のところ作家さんとしましては
話を分けたカタチにし連載に持っていった方が原稿料としては効率が良いのですよ。
しかし、ネタを優先し新刊の「フラクション」を描いた背景
そして駕籠さんの「ギャグ」のこだわり。
イベント中でお聞きできなかった部分を聞けて良かったです!
しかし、改めてテープおこしをしながら
今回のインタビューは随所に核心をついた部分があるような気がしております。
というのも私も今年からは
「トークイベント」というカタチのみならず
ネタを優先し、色々なパターンをしていこうと考えておりまして。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。(2010年1月)

あっ、ちなみに
駕籠さんのサイン会の様子です。

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駕籠真太郎(かごしんたろう)

1969年、東京都生まれ。奇想漫画家。
グロテスク、猟奇、人体改造や人体破壊から、太平洋戦争、SF的な題材まで狂的な世界観を描く。 また、漫画以外にもイベントや個展を開催したり、 映像作家としても活動するなど多岐に渡る。
著書に『大葬儀』、『駅前花嫁』、『アリ地獄VSバラバラ少女』など多数。
2009年11月、描き下ろし単行本『フラクション』を発表。

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