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見ル野栄司氏インタビュー「見ル野栄司の男泣き」(2/3)

11/05/22 12:00

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2 『シブすぎ』後に見えた景色



― 数字での結果は出ましたもんね。(10万部突破)その結果、心境の変化はありましたか?

『シブすぎ』は描いてて楽しかったんですよ。
だから「楽しみながら稼げればもっと良いんだけど」っていうのを
考えるようになりましたね。
面白いマンガを自分も楽しんで描けてお金が入れば言うこと無いでしょ?
「描いてて辛いけど、お金が入る」っていうのも・・・やっぱり苦しいんですよね。

― 前まではどう考えてたんですか?

今までは楽しく描くけど、全然売れないっていうか・・・
昔はもの凄いパワーを使ってたんですよね。
最後の1つのオチの為にもの凄い頭を抱えるんですよ。
そういうのって、空振りをしやすいんですよね。
アレはもう体験したくないんですよ。(笑)
時間ばっかり過ぎていって、数描けないからお金もあまり入らない。
だから、描きたくも無いイラストとか描いたりして・・・

― 思うように歯車が回らなくなっていく。

そう、「だったら楽しく描いて儲かった方が良いだろう!」って。

― 結果、シンプルでベストな答えに行き着く訳ですね。(笑)

うん。あと『シブすぎ』ではメッセージもあっったんですよね。

― メッセージ?

「知らせたい」っていう。
やっぱりモノづくりの人達の知られざる部分を紹介したいっていう。
もともと自分もそういう専門職をしていたから描くのも楽しかったんですよ。
すると、そういうモノづくり関係の漫画を描きませんか?っていう話をもらったりして・・・まぁ、大手からは来ないけど(笑)
あと珍しがられてね、理工系漫画家なんてことでラジオとかに呼ばれたりして。
時折、真面目な仕事がきたりもするんですね
「日本の町工場かこれからどうすれば活性化するのか?」なんてね。
俺にそういう事を聞かれても・・・(苦)
「女を入れれば良いんじゃないか?」てな答えになっちゃうからさ。
まぁ、楽しいから良いんですけどね。

― ハハハ(笑)『シブすぎ』で作家自身にキャラがついてしまったみたいですね。

でも、今はストーリーとかSFとかも用意してて。
何でも描きますよ!
本業は「漫画家」ですから。

― 今までギャグばかり考えてたのが、急に世界が広がりましたね。

それもありますね。
ギャグ漫画を描きつつ、ストーリー漫画もやりたかったんですよ。映画が好きだから。
でもいくらネームをきって出しても
「見ル野さんはギャグ漫画だから、そんなの駄目だよ」って読みもしないの。(笑)
だから『シブすぎ』のおかげで、ギャグ以外の仕事も入ってきて
やりたい漫画が描けるようになったっていう。

― ちなみに、今やりたい漫画とは?

やっぱりフィクションがやりたいんですよ。
本業はエッセイ漫画家じゃなくで「漫画家」としてやりたいんで。
で、そういう事を言ったらストーリーものの仕事がもらえたんですよ。
まぁ、運もありますけどね。
だけどストーリー漫画としては駄目な「絵が下手」っていう欠点があるんで(笑)
だから、これを機に描きながら勉強しなきゃいけない感じですね。

― ギャグに始まり、エッセイ漫画、そしてストーリー漫画と・・・。

まぁ、ストーリー漫画っていってもギャグは入れてますけど。

― だけど、ギャグだけでは駄目だと?

薄々・・・っていうかガッツリと気づいていたんですけどね。
「ギャグだけ」では駄目なんですよ。
だから、ギャグ漫画って描いている時に心配になるんです。
10年後とかどうなってるのかな?って。
先が読めないんですよね。
1年後、2年後は単行本が出てっていう流れは読めるんですけど
10年後ってなると・・・やっぱりその時代のムーブメントがあるんですよね。

― ストーリーとちがって、ギャグは飽きられますもんね。

日本でギャグ漫画を描いてる方は、そういう辛い部分があると思うんですね。
何でも描ける人は良いんですけどね。
ただ悔しいのが、「抜いたギャグ」の方がウケるって事ですよね。

― 「抜いたギャグ」?

何ていうか、噛み砕いて・・・分かりやすくしたような。
それを、時代に逆らってやりたいギャグを描くとなれば
女房子供を捨てて、一人暮らしで2万円くらいのアパートで暮らす
となれば描けるかもしれないけど・・・
っていうか、漫画家をやってるって自体でロックなんですけどね。
アウトローな事ですから。

― そうですね、社会の中では異端ですよね(笑)

博打ですからね。
『シブすぎ』で色んな職人さんに出会いましたけど
例えば、東大阪のある工場の職人さんも
時代に合わせて色んなモノを作ってるんですよ。
だから潰れないんですよ、閉鎖する工場は意外と少ないの。
明治時代から脈々と変化し続けて、
地域ごとで同じものを作らないように密接に連絡を取り合って。
もしかすると、漫画家の人達も連合・・・は作らなくても、
変化はしていかないとならないのかもしれないですよね。

― 漫画家も変化していかなくては・・・

昔は、とりあえず描いてればっていう時代だったんだけどね。
90年代かな?
俺のデビューは1999年だったから、結構ヤバイ頃だったよね。
まぁ、結局は描き続けていかないと駄目なんだよね。

― そういう事も考えながら漫画を描いている見ル野さんは器用ですよね。

やっぱり、サラリーマンを10年やってましたからね。

見ル野 栄司 (みるの えいじ)

1971年生まれ、漫画家。日本工学院専門学校メカトロニクス科卒業。
半導体製造装置やアミューズメントゲーム機などの設計開発の会社に10年勤務した後に、
2000年『月刊IKKI』掲載の「東京ソレノイド」にて漫画家としてデビュー。
その後、ビックコミックスピリッツやヤングジャンプなどで連載。
代表作に、世界初のフローチャート式漫画「東京フローチャート」「シブすぎ技術に男泣き!」など




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