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寺田克也氏インタビュー「なぜ絵を描くのか?寺田克也という人物に迫る!!」(5/8)

11/01/08 11:00

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「卵が先か?鶏が先か?」てなことで漫画も「絵が先か?ストーリーが先か?」となると
…まぁ、それは人それぞれで。まして正解があるってものではないでしょう。
だけど、漫画家さんの話を聞いていたら多くの方の原点は「落書き」なんですね。
昔から落書きが好きで、漫画を描くようになってというような。

そこで今回はその原点である「落書き」という点に注目しながら
自称:ラクガキングでもある漫画家の寺田克也さんに突撃インタビュー!!
果たして、寺田克也という人物はなぜ絵を描くのか?




5 単に「絵がうまくなりたい」だけ


■ 「絵がうまくなる」というは?

― 自分の目的ですか?

単に「絵がうまくなりたい」だけなんですね。
人がうまいって言ってくれる事じゃなくて、自分が思う描写力を手に入れるってことが目標だから。その過程でどうなっても構わない訳ですよ。
例えばこの先に、気がつけば自分は画家みたいになってたとしてもそれは構わないんですね、ただ目標的には「絵がうまくなりたい」って言うのがアホみたいにあるだけだから。

― その目標とする地点には、だんだん近づいて来てるんですか?

ん~・・・いや、分からないね。
まぁ、ムニャムニャムニャムニャ・・・(苦)

― え??(笑)

いやぁ、遠ざかってはいるけど・・・近づかないですね・・・。
自分の事を下手とは思わないけど「自分の下手な部分」は知ってるんですよ。
だから、そこから自分の絵を見ると全く理想には近づいていないっていう。
逆に、やっぱり得意分野っていうのがあるから「自分の描ける部分」もあって、
そこから見ると・・・まぁまぁ何とかなりそうな雰囲気もちょっとするんだけど。
でも、目標としては
「全域に渡ってうまい絵」だからさ。
とにかく、そこに至りたいっていうモチベーションに過ぎないの。
それが出来たからといって社会的にどうなるっていう訳でもないけど、
ただ作品を人に提供する時に「何でも描ける」っていうのはより楽しんで頂けるんじゃないだろうか?っていう感じはあるよね。

― やっぱり楽しんでもらいたいっていうのが1番なんですね。

小学校の時に面白い似顔絵描く方が偉いっていう価値観から変わってないので。
見た瞬間に噴出すような絵の方が強いですよね、写真みたいな絵より。
そんな絵は写真を見れば良いわけで。
その辺の感覚は変わらないんじゃないかな。

― 面白い絵が1番と

面白いと、やっぱりうまいのもあるね。
「うわ!うまい。コレはオレには描けない」っていうのとか。
そういうの見ると頑張らねばっていうのがあるし。

― そういう絵を見ると悔しいですか?

悔しいは悔しいよね。
「何でオレじゃないんや!」っていうね。

― 例えば、描いてると「あれ?コレってこういうことか?」って発見する瞬間はあるんですか?

あるある。未だにある。
「こう描くと、こう見える」っていうのがホントに突然来る時があるよね。
それは続けていないと分からない感覚なんですけど・・・
例えばコップなら、何回描いてもフチの丸みが奥にいかないっていうのが
突然ある日にスッっと描ける時がある。「あ、こう描くんや」ってね。
多分、それは自分のフィルターを手に入れることであって
フィルターと右手が直結した瞬間なんですよ。
それまでは見えてるモノを紙に移すフィルターが出来てなくて
人のフィルターを通すと描けたりするんですけど・・・

― 誰かの描いたマネなら出来るってことですか?

そうそう、手塚治虫風とかね。
みんな最初は人のフィルターで絵を描くから。
そこから離れて自分のフィルターになるまでが凄い時間が掛かるよね。
だからこそ練習しなきゃいけないんですけど、
描き続けないと自分のフィルターは手に入らないから。
そのフィルターの数が増えれば増えるほど何でも描けるようになっていくっていうのが
あると思うんですよね。
やっぱり見たモノを描くのが基本やから。
あとは、「何がどういうふうに関係しているのか?」というのが頭に入った時に
それがやっと描けるようになるとか。

― 関係ですか?

例えば、骨とかね。関節であるとか筋肉とか。
「どう描いても、首が身体に繋がらない」っていうね。
でも身体の中に背骨があって、そのまわりに筋肉があって・・・っていうのを自分なりに考えて描いてると、ふとある日その関係性が自分の中で繋がる時があるんですね。
「ここが繋がってるから、こう動くんや!」っていう。
そうすると、今度は描けるようになるんで。

― 構造を理解した時に、ようやく描けるんですね。

そうそう。
でも、実はそんな事は美大とかに行ってデッサン叩き込まれれば
あっさり分かることなんですけど、オレは単純に遠回りしてるだけなんで。

― ははは(笑)

「めっちゃ遠まわりしてるわぁ~」って思いながら(笑)
アカデミックな勉強はほとんどしてないので本当に遠回りしてると思う。
絵も描けないモノがまだ多いから。
結局、見て描くなら何でも描けるんですね、見たままを描けば良いんだから。
その「見たモノを描く」っていうスタートラインにはもう着いているんで
見たままを描くっていうのは可能なんだけど
「見た以上のモノにする」ってのはそっからだから。

― 見た以上のモノ?

そこに、自分が見たモノという「証」を入れていかないとダメだから。
でなかったら写真で良い訳でしょ。
それに写真ですら人の気持ちが入る訳じゃないですか?
なので、スタートラインの先に行くところから才能が出てくると思うんですね。
スタート地点までは誰でも行けるってのがオレの持論。

― そこまでは誰でも描けるんですか?

だって、凄く理詰めの話だからね。
丸を丸として描けるとか、カメラ位置を下げると楕円になるとか。
そういうのってめっちゃ理詰めでしょ。雰囲気で丸くなってるわけじゃないから。
要は理詰めで考えれば、見たモノを見たまま描けるってのは本当は誰でも出来るわけ。
でも、そこまでいくのは時間も掛かるし、みんな絵がそんなに好きなわけじゃないので
そこまでやる必要も無いしね。
だけどそれをずっとやってきて、見たモノは大体を紙に映せるっていう段階から
「じゃあ今度は何を描くか?」っていうのが大事になってくるわけで。
今はその段階。

― なるほど・・・

でもその過程でも、まだまだ見たまま描けてないのが沢山あるってのが頭にあって。
行動(自分のフィルター)っていうのは頭に入ってると、見たままを描く時にも凄く役に立つわけね。
例えばこの机が「何でここにコレがあるんやろ?」っていうのも
脚がそこにあるからで、脚が無かったら無いわけだから。
というような事も、簡単に言えば構造を知ってるから。
そうなると考えも早いけど、
「脚があるから、この机がある」っていうのに考えに頭が及ばないと
見たままを描こうとしても、その関係性を無視したものになるから。
隣の机との関係性も描けなかったりする。
すると、余計に分かんない事が増えたり、正解に近づくまでに時間が掛かったりするのね。
その構造を知っていれば、「どうしてそこにあるのか?」が自分で納得出来るから
描くスピードも上がる・・・と思うんですけど。
そういうこともあって、何でも構造を知っておくと良いと思うんだけどね。

― ほんと理詰めですね。

自覚的に自分が何を描いているのかを分からないで写していると、
ただのカメラと一緒なので。カメラは意識無いから。
だから、自分に見えている『線』が
「これは何の為の線なのか?」っていう事を知っていれば
例えば、そこの内窓のフチもさ
― 漆喰で固まって出っ張ってる5センチ位の中に材木が入ってて ― とかね、
それを知ってれば、そういう気持ちで描けるわけじゃないですか?
そういう自覚的になれれば、そのスタート地点の1歩先から描き始められる。
やっぱり「これ何なんだろう?」って思いながら描いていると
絵って難しいと思うんですね。
結果、到達点は同じでも時間が掛かるから、短縮する為にはそういう事を知っておいた方が良い。

― 構造を理解していると時間が短縮出来るんですね。

それは人体も一緒で
そこに裸の人がいて見たまま描くのは出来るけど、
その中を自分が知っていれば意味が分かる。
どっちの足に重心がかかってるのか?とか。
そうすると「重心がかかっている方の足」というように描けるわけ。
じゃあ、次は地面との関係性も描けてくるわけで「より立ってる人」が描けてくる。
つまり、何の為にこういう話をしているのかって言うと
オレの理想の着地点としては
「何も見ないでも、何でも描ける」っていうね、子供じみた理想だけど。
その為に、色んなことを知りたいっていうのがあるよね。

― ははぁ・・・「何も見ないでも、何でも描ける」ですか?

そうそう。

― じゃあ、「何も見ないで、見たことも無いモノを描ける」っていうのは?

それは、その先なんだけどね。(笑)
その「見てないのに描ける」っていうのは凄い理想なんですよ。
何故かっていうと、オレはズボラだから。

― ズボラ?

もうね、資料とか探したくないの。面倒でしょ?

― ははは(笑)そういうズボラですか。

町の写真を撮ってきて写しても、つまらないでしょ。
だったら自分で思い浮かべたのを描いた方が良いやん。
そういうズボラさが全ての原動力なんで、どこにも行きたくないっていう。

― その方が楽そうですしね。

そう。後で楽出来るんだったら、いま辛くても大丈夫なんで。
そういう発想が常にあるんですね。

― 絵を描くのは好きだけど、面倒な事は描きたくない。

面倒は大嫌い。(笑)

寺田 克也 (てらだ かつや)

1963年12月7日生まれ、岡山県玉野市出身。
イラストレーター、漫画家、ゲーム・映画のキャラクターデザイン、小説の挿絵など様々な分野で活躍。滅法絵のうまいイラストレーターと評判で、海外にまで熱心なファンがいたり、「ラクガキング」と名乗るほど膨大な絵を描くことでも有名。

WEB) terras book
BLOG) terada's book brog
SHOP) TEE PARTY / 寺田克也半袖店




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