インタビューイベントマックスブログプロフィールpowered by MAX POWER

寺田克也氏インタビュー「なぜ絵を描くのか?寺田克也という人物に迫る!!」(8/8)

11/11/11 11:00

interview_terada.jpg

「卵が先か?鶏が先か?」てなことで漫画も「絵が先か?ストーリーが先か?」となると
…まぁ、それは人それぞれで。まして正解があるってものではないでしょう。
だけど、漫画家さんの話を聞いていたら多くの方の原点は「落書き」なんですね。
昔から落書きが好きで、漫画を描くようになってというような。

そこで今回はその原点である「落書き」という点に注目しながら
自称:ラクガキングでもある漫画家の寺田克也さんに突撃インタビュー!!
果たして、寺田克也という人物はなぜ絵を描くのか?




8 自分はラッキーだったなっていうのはそういう事


■ 遠くの理想に近づきたくて

― いつ頃には理想の絵を描けるようになっているというような目安ってありますか?

いやいや、それは無いねぇ。うん、無い。

― じゃあ、今は自分の理想の何合目あたりまで来てるのかっていうのは?

それも分からんねぇ
すでにベラスケスは30代でそんな絵を描いてるわけなんで。

― ベラスケスは30代で!?

まぁ昔の人は寿命が短いじゃないですか?
長くても大体50代で死んでしまっているじゃないですか。
そう考えると、とても追いつけないので
そういう意味ではもう諦めているんですけどね。
でも、ちょっとずつくらいは近づけるでしょ?っていうところじゃないかな。
皆、言語化してないだけで何をやってる人もそういうところがあると思うけどね。
お笑いの人は自分がちょっと一言いっただけで全員が笑うみたいなトコを目指すわけじゃないですか?

― イチローが「目を瞑ってヒットを打てるようになりたい」と言うような?

人が聞くとアホみたいやけど、やっぱりそういうイメージは必要ですよね。
でないと、どっかで満足してしまうから・・・それが恐いっていうのがありますよ。
だから出来る出来ないは別にして、これが原動力になるから。
まぁ、そんな感じで絵を描いてるんだけど・・・それで、この程度か?っていうね。
それが常のオレの悩み。(笑)

― 「この程度か?」ですか?

ありえないですよね、全然。
この程度のクセに、「よくそんな事を言えるな?」ってことですよホントに。
でも、そういう事だと思うんですね。
自分の絵が上手いなんてとても思えないし、普通って言われれば普通で。ほんと謙遜とかではなくて、オレは謙遜するのとか好きじゃないんで。
確かにこの分野では、これくらい描けるっていうのはあるけど。
全体で見ると「全然アカンやん」っていうのが常に自分の中にあるよ。

― 例えば仕事としてイラストの発注があった場合、「求められるモノ」と「自分が納得いくモノ」のバランスはどうしているんですか?

「求められるモノ」を描くのは当然の話、大前提であって。
オレも時間無い時はギリギリのモノを出したりするし、平気で。
そんなストイックに生きてないんで。
ただ、求められているモノの水準は自分の中でクリアしないと続かないっていうのはあるから、それは最初から心掛けてはいるんで。

― でも、依頼主に求められてない自分の中の水準はひたすら高くあって。

誰も求めてないでしょうね。
誰も「そこまで辿り着け」って言ってへんでっていう。

― そこを目差してただただ「絵が上手くなりたい」・・・その・・・アホみたいに(笑)

いや、ほんとアホみたいな事ですよ。
役にも立ちませんしね。
闇雲にやってるけど「ほんとにそこに行けんのか?」っていう。
でも、近い目標を立ててもしょうがないし。
大体、何事においてもいい加減なんで
ゆっくりとそっちに向かっているという事でしかなくて。
そこに向かって焦って死んでしまうていう人は数限りなくいた訳で
僕もその中の1人に過ぎないんですよ。

― もう、そういう性なんだという

しょうがないですよね。

― でも、話を聞いてると寺田さんは「絵が上手くなりたい」から全くブレが無いですね。

ほんと、そこに救われてるような気もするんですね。

― 大抵の人は何かしらのブレがあるがあると思いますよ。

だから「決めちゃうと楽だよ」っていう。
結果論だと言われればそうかもしれず・・・自分の言っている事の全てにおいて自信が無いという。(笑)

― 明日は違うことを言ってるかもしれないんですか?

いや、そうでもないんだけど
明日もきっと同じ話をするんですけど。
だからといって・・・

― オレの場合の話であって?

あくまでもね。
それよりも「明日の締め切りを考えないと」ですからね。

― いや、でも皆さんも寺田さんのご意見が参考になるはずですよ。

そうかなあ…。

― つまり、寺田さんをそこまで「絵が上手くなりたい」と奮い立たせる原点は、好奇心といいますか・・・

そうそう、行ったことないところに行きたいということなので
多分、旅行するのと同じ感覚だと思うんですね。
「景色が見たい」みたいな感じで、「ここまで上手くなったら何が描けるんやろ?」みたいな。それを自分で見てみたいっていうのが一番にあるのかもしれないね。

― ワクワクする気持ちを持ち続ける事が大事だと

うん、オレは多分そういう事を思っている自分に依存しているんで、それで助かってる。
余計な事を考えずにいられるっていう。
それに、決めたのがたまたま絵だったので死ぬまで出来るじゃないですか?
死ぬまでっていうか、描けなくなるまでね。
でもいつ描けなくなるか分からないので、明日には事故で両手が無くなるかもしれない。
けど、長く続けていられるっていうのがあるから。
そういう感覚で出来るのは良かったと思うんですね。
これが、たまたまバイクで暴走するのが好きだったら、もう暴走族になるしかなくて。
しかも高校卒業したら辞めなきゃみたいなって、残りも少ないじゃないですか?
そしたら燃え尽きるしかなくて大変でしょ?
だから暴走族じゃなくて良かったなって。

― 一生暴走族っていうのもね。

暴走族の中でも、「一生暴走し続けたい!」って思ったらレーサーになるしかないわけで(笑)。
そこまで決めれば、やっても良いかなって思うんですけど。
やっぱり暴走して燃え尽きるってだけじゃ・・・ちょっと短すぎるかな。
それは運が悪かったって話ですね。

― やっぱり、運ですか?(笑)

オレが好きなのは暴走じゃなくてマンガであって、それはラッキーですよ。
そうやって時代に即したものを好きになって良かったなっていうのは間違いなくあるでしょ?
そこをどこまで自覚的に選べるか?っていうのもあるよね。
今の時代じゃなかった?とかね
持って生まれる才能っていうものがあるとしたら
それが発揮できる時代かどうか?っていうのも絶対あるしね。
そりゃもう運じゃないですか?その時代に生まれるかどうかっていうのは。
もの凄い写植を拾うのが上手いって人がいたとしても、
もう写植は無いからそれじゃ食っていけないじゃないですか?
自分の才能が活かせられない時代になってしまったっていう運の無さですよね。
それは自分ではどうしようもなくて、見入った職業に就くしかない。
そういう不幸っていうのも間違いなくあると思うので、自分はラッキーだったなっていうのはそういう事ですね。

― 自分がついてるかついてないかを見つめ直してみないといけないですね。

それも結果論なんでね。
「あの時はついてたなぁ」って、または「あの時はついてなかったけどかえって良かったなって」とかは、長く生きてみないと分からないことも多いから。
でも若い時は自分が死ぬとは思ってないので
人生が長いと思ってしまうから余計に焦るわけなんですね、「これが続くのか?」って。
でも、40とか過ぎて、自分の折り返し地点が見えてくると、
残りの限定された中で何を出来るのか?っていう発想になるわけで
逆に焦らなくなる気がするね、もう決まっちゃってるから。
焦っても仕方ないしね、自分が死なないとはもう思えないので。
若い時って理解はしていても、身体は分ってないから。やっぱり病気でもしない限り。
高校の時とか、ある意味「不死身」やから。
そう思ってなくても、現に焦ってるのであれば、そう思ってるからだから。
「この状態が続くのは耐えられない・・・」って。
逆だったら良いのにね、そしたら色々と考えられるのに・・・なかなか上手く出来てないので。
オレも若い時は
焦るだけでボーッとして過ごし、時間があるから余計にボーッとして過ごし、でも気持ちだけは焦ってるっていうね。
でも、歳とると色んなものが見えてくるから
焦りは消えるけど、時間がなくなるのでボーッと出来なくなるっていうね。
あぁ、ほんと逆だったならって。若い時に色々やってればなって。

― うーん・・・自分の事を言われているようで(悩)

はははは(笑)

― 色々やってるつもりなんですけどねぇ・・・(笑)

いやいや、それはその時にしか出来ないので
それはそれで良いんですけど
ボーッとするのも逆にその時にしか出来ないのかなっていう気もするしね。
なかなか思い通りにいかないよね。
ってこんな話でよかったのか?(笑)

- 完 -

寺田 克也 (てらだ かつや)

1963年12月7日生まれ、岡山県玉野市出身。
イラストレーター、漫画家、ゲーム・映画のキャラクターデザイン、小説の挿絵など様々な分野で活躍。滅法絵のうまいイラストレーターと評判で、海外にまで熱心なファンがいたり、「ラクガキング」と名乗るほど膨大な絵を描くことでも有名。

WEB) terras book
BLOG) terada's book brog
SHOP) TEE PARTY / 寺田克也半袖店





Twitterでのつぶやかれ

寺田克也インタビュー寺田克也インタビュー根本敬インタビュー蛭子能収インタビュー根本敬インタビュー石原まこちんインタビュー