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タイム涼介インタビュー(4/6)

11/07/14 10:00


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4 打ち合わせ通りじゃなくなっちゃった

■この2人が実際に存在する?

― アベックパンチではそんな若者の恋愛を描かれている部分もあるじゃないですか?
その辺りはどのように描かれてたんですか?


ストーリーを考えてキャラを当てはめて描いたのじゃなくて
結構特殊な描き方をしたんですよ。
完全にキャラ主導で、キャラクターを作り上げて・・・何だろう?
描き始める前の最初の打ち合わせで
「こういうの描きたい」って言った時に
「じゃあ『この2人が実際に存在する』っていう頭で生活しろ」って言われまして。
ちょうど僕もそうしようと考えていたんで
いつも「実在する人物として」考えて打ち合わせをしてたんですね。
だから、彼らがやらないようなストーリーを当てはめるっていう事は全くなくて。

― この2人がいて、はじめてストーリーが生まれていくような?

そうそう。
打ち合わせでは、次にこういう出来事があったら・・・コイツ達どうすっかな?
みたいなのを話し合って、それを持ち帰って描くんですけど
実際にちゃんとシミュレーションすると・・・全くその通りに動かないんですね。
こっちが考えたようには全く言う事が聞かない感じで。
結局オッサンが考えたことなんかに、
17才の主人公達が従うわけがなかったっていう。

― なるほど。

だから実際にアベックパンチの競技に入るまで、丸々1巻使っちゃいまして。
真っ直ぐ行ってくれないから、寄り道ばっかりになっちゃう。
典型的なのはコルビーナって女性が出て来る場面も、
この競技は恋愛と格闘技だから、
強い奴同士が組んだら強くなるのか?とか
強い奴同士でも意思の疎通ができなくて愛情がなかったら上手くいかないだろ?
っていうストーリーを描く為に、
1回か2回出てくるキャラクターにして「組ませたら駄目でした」っていう
シュチュレーションを見せていこうっていう打ち合わせだったんですよ。
それで「わかりました、そういう感じで描きます」って家に帰って描き始めたら・・・
ヒラマサがコルビーナのことを好きになっちゃって(笑)
打ち合わせ通りでは全くなくなちゃったんですよね。

― あ、最初はそういう予定だったんですか?

なのにいきなり惚れちゃうから。
結局、コルビーナは物語のキーとなるようなでかい存在になっちゃって。
それが切っ掛けで、はっきり言ってこっちも諦めましたよね。

■人間を描けなかったら意味が無い

― 諦めちゃいましたか(笑)

実際考えてみると、今まで女に触れてなかった奴が手なんか繋いじゃったりすると
好きになるわなぁ~って。健気な人でしたらね。
自分達よりも過酷な環境で育った女性だったりすると、
彼らは心を持ってかれると思うんですよ。
打ち合わせの時にオッサン2人で話しててもそういうところまでは到達しないんだけど
家でちゃんと対話すれば「そうはいかねぇよ」って感じで負けちゃうんで。

― でも打ち合わせと違ってくると、担当さんにはどう伝えるんですか?

「すいませ~ん、好きになっちゃいました!」って。
じゃあ「そうだよな」って感じで(笑)
打ち合わせのスタイルが特殊だったのは
お互いに共通の友人の事を喋るようにキャラクターのことを話すんで
コマとして動かすんじゃなくて、実際はいないんだけど
「いま同席してないだけの共通の友人」って感じで。

― タイムさんと担当さんの間には、彼らという友人が実在しているんですね。

「あいつはバカだから、あぁやっちゃうんだよな」とか
「あいつはそんな事言わない」って感じで。
でも、イサキに関しては・・・僕目線の部分もあるから
「それはお前が考えろ」っていう感じでしたね。
そもそも僕も担当さんも、
そう簡単に恋愛なんか始まらないっていう人生だったんで(笑)

― その2人が高校生のアベックの事を考えるとなると・・・

だから、ちゃんとした恋愛が始まるまでの話になっちゃったんですけどね(笑)
ただ、描いてるうちに
そんなベタベタした恋愛よりも手を繋いで戦う方がどんなに凄い事なのか?
っていうことに気づきまして。
だって、何年も付き合って「結婚します」なんて言ってる人達でも
一緒にリングはあがれないでしょ?っていう(笑)
それが出来るのって佐々木健介と北斗晶くらいじゃないですか(笑)

― 確かに(笑)

まぁ、厳しい競技だなって思ってたんだけど・・・
もう「ある」と思い込んでたんで。
2人はいると思い込んでたし、この競技は実在するって思い込んでたから
ブレは何もなかったですね。
ただ考えるのは、どうやったらそこに登り着けるか?っていう。
それが、かなり困難だたっから・・・普通の漫画とは違うかもしれないですね。
だって、普通ならとっとと主人公がリングに上がってるはずじゃないですか?
イサキが(笑)

― そうですね・・・かなり競技に入るまでの助走が長いというか・・・

でも、どう考えてもそんなにスグに上がれなかったんですよ。
連載始まってから1年くらいは。
別にストーリーを追わせる気は全く無かったんで
もし、実際に上がれなかったとしても
そういうスポーツの中にいる2人っていうのを描ければ良かったので。
人間を描けなかったら意味が無いと思うんで。
無理なら無理でしょうがないと考えてましたね。

― ちなみに、女性キャラはどうのような意識をして描いていたんですか?

基本的に僕は描いたキャラクターは脇役だろうが好きになっちゃうっていう癖があって。
捨てキャラを描けないっていうか・・・

― ブスは酷いブスに描きますよね。

ははは(笑)

― でも、ホントに可愛く描かれてますよね。それがとても伝わってきます。

好きだと自動的に可愛く描きたくなっちゃうんですよね。
誰と誰が纏まるのか?っていうのは、そこまで考えて描き始めてないんですよ。
でも、ホントに1人1人が人生を歩んでいて、
色々事情があるっていう描いてない部分は色々考えてるんで
案外すんなり女の子のセリフも出ましたね。

― アベックパンチは・・・たくましい女の子が多いですよね。

そういう子が好きっていうのもあるかもしれないですね。
でも、リングに上がれない女の子にも事情があるわけで・・・って普通そうだろうけど(笑)そこをあまり悪く描きたくないですし。

― そうやって描いていくうちに、タイムさんも女心が段々分かってきたり?

女心なんて分かんないよ!(笑)
結局、全部自分の中から出たものだから、全部自分の分身なんでしょうね。
それに女心を調べて描こうとも思わないですし。
自分がその女の子になりきって描いたら良いだけの話だから。
女心だろうが、男心だって他人の事は全く分からないから。
一人一人自分がなりきって考えただけっていうか・・・
誰でもあるんですよ、女の子の部分はどこかに。

― なるほど・・・童貞をこじらせていたような人とは思えない・・・

そりゃ、描いた時は30才だったから(笑)もう結婚もしてたんで。
とりあえず、そこまでは分かったから描けたってわけで。
実際、童貞ど真ん中だったら絶対に描けてなかったですよ。(笑)

タイム涼介 (漫画家)
1976年生まれ。神奈川県出身。1995年、高校在学中に、第176回ヤングマガジン月間新人漫画賞にて『タオル』が入選、デビュー。主な著書に『日直番長』『あしたの弱音』など。ギャグ作品を中心に描いてきたが、2007年よりコミックビームにて新境地を拓くストーリー漫画『アベックパンチ』を連載。2010年、約4年にわたる連載が無事終了。
2011年、同作が『月刊コミックビーム』15周年記念作品として実写映画化される。
現在、コミックビームにて新連載『-I.C.U-』を連載中。

■本人ブログ
タイムのブログ http://ameblo.jp/time000/

■WEB
タイム涼介本店HP http://www.time-ryosuke.com/

■ツイッターアカウント@time_ryosuke
http://twitter.com/time_ryosuke

映画「アベックパンチ」
公式サイト
映画「アベックパンチ」予告編(youtube)




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