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和田ラヂヲ氏インタビュー

08/07/05 22:44

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「じゃあ、いつものところで」と愛媛は松山のしがない喫茶店へ。
今回は「ラブラドール・和田ラヂヲ」第1巻の発売ということを機に和田ラヂヲ氏のルーツに迫ってみました。

新連載
―「ラブラドール・和田ラヂヲ」も第1巻が発売になりましたけど、新連載が始まる時は次はこういった事をしてやろうっていうのはあるんですか?

あー、あんまりないけどな(笑)戦略とかは考えない方なんで。
「この作品では何が言いたい」とかあるじゃない?テーマとか。俺はないね。

―やっぱり(笑)

まぁ、「ないね」って自慢気に言うことじゃないけど(笑)
結局、自分が面白いって思うのを基準で描いてるから。あんまり読者の人にどう笑ってもらうかなんていう事までは考えてないかな。わりと投げっぱなしなところあるから。

―なるほど、コール&レスポンスがないというか?

うん。受け取ってもらってもいいし、受け取ってもらわなくてもいいしというスタンスでやってるから。

―どう読んで欲しいって思って描いても、確実にそう伝わるとは分からないですしね。

そうだもんね、漫画ってのは。
だって漫画は説明できないから、紙面に載ってるものしか情報的にはないじゃない。
しょうがないよね。


基準
―和田さんは今年で漫画家になって17年目になるわけですけど、最近は漫画を描くにあたって気をつけてる事って何かありますか?

気をつけること?(笑)
気をつけることは・・・落とさないことでしょ(笑)

―ハハハハ(笑)

でも、とりあえず自分が面白いと思えるモノを描くってこと。
自分のハードルってあるじゃないですか?いわゆる基準っていうやつ。
それは下げたらダメだなっていうのはあるよね。

―なるほど。ちなみにどういう基準が・・・?

それはちょっと口では説明しにくいけど(笑)
「これは出したくないな」っていうのは出したら駄目でしょ。
「・・・でも切羽詰まって、時間もないし・・・しゃあないか!」
って出すような事だけはしたくない。

―その基準っていうのはデビュー当時からあったんですか?

うん、ありましたね。
わかりやすく言えば、単純に先週より今週の方が面白くないと気持ち悪いという感覚。
先週より後退してると自分でも嫌というか。
はたから見ると同じだって話なんだけど(笑)自分の中の感覚。

―じゃあ、和田さんの中では昔の作品と今の作品はだいぶ変わってきたと。

いや、変わってないと思うんだけど。気持ちの問題(笑)

―でも最近の作品は昔に比べると、無駄なモノが削ぎ落とされた感じがするんですよね。

勢いが無いんじゃないかな?画面の。
昔は「ワー」とか「ヒャー」とか言ってたけど、おとなしくなってきた。

―それは意図的にですかね?

いや、単純に歳とってきたからじゃないですか?(笑)
―年齢とともにですか(笑)

そういうのもアリだと思うんだけどね、俺は。
無理して描いてもしょうがないじゃないですか。
年相応のものしか描けないですよ絶対。
わざわざ20代の人に合わせるつもりもないし。10代にもないし。

―やっぱり自分が面白いモノを描こうとすると、自分が軸ですもんね。

無理するとね後で後悔するから。
あんなの描くんじゃなかったみたいな(笑)

―だから、ある種本音で描かれてるって訳ですね。

そういう意味でね。戦略的なものは無いですわな。
だから本流でいくのが楽なんじゃないですか。
どっかで画風とか変えたら大変なことになるじゃないですか。

―そうですね、和田さんが今から画風を変えられると(笑)

それはそれで面白いかもしんないけどね(笑)

ショートとストーリー
―ショートの漫画が多いじゃないですか、何かこだわりがあるんですか?

何かそういうイメージがあんのかな?
頼まれないから(笑)

―あ、頼まれないからなんですか!

描いてみませんか?って言われたら描くかもしんないけど。
そういう枠では僕のことを使ってくれる人はいないのかもしんないですね、編集の方に。
「送りバントだけしてたらいいぞお前は!」って。(笑)
「長打はいらないぞ!」みたいな。

―いきなり4番に立たされても困りますしね。

やってみたい気持ちはあるんだけどね(笑)
でも、そんな事は編集の人が考えることだからね。適材適所ってあるじゃない(笑)

―じゃあストーリーは描きたくないって訳じゃないんですね。

じゃないですよ。気持ちはありますけどね。

―もしかして、構想もあったりするんですか?

いいえ。
構想を練るとね、多分つまらいものが出来ると思うの。
瞬発力でやるもんだからね。

―なるほど、和田さんは漫画を瞬発力で描かれているんですね

もちろんですよ!
練りに練ったものほど、つまらないモノはないと思ってるのよ。俺は(笑)

―ははは(笑)

うーん、なんだろうな。
行き当たりばったりのギャグですから、どっかで辻褄を合わせるギャグならイイんで。
まぁ、そういうタイプだからしょうがないですよね。


漫画家になって17年
―漫画を描き始めた原因は何だったんですか?

バンドをやってて、辞めて。次に何をしようかなってところで・・・漫画かなと(笑)
面白いことを考えるんが好きやったんで。
ただ漫画は描いたことがなかったんで、全然。

―今まで描いたことがなかったのに?

ないねぇ。
初めてヤンジャンに投稿したら、入って。それからかな。
連載しながら勉強した感じ(笑)漫画に関しては。
アシスタント経験もないし。

―アシスタント経験も・・・ちなみに和田さんはつけてるんですか?(アシスタントを)

つけてないですよ、ずっと一人。
アシスタントつけたらアシスタントの方が上手いの分かってるじゃないですか。
そんなん嫌じゃないですか(笑)

―ははは(笑)

アシスタントの人も勉強にならないじゃないですか。

―「こんな背景描けるんですよ」って言われましてもね。

そうそう。「それはいらないかな」って言われたらガックリくるでしょ(笑)

―和田さんは今年で漫画家になって17年目になるわけですけど、何か転機とかあったんですか?

転機はないなぁ(笑)そのままずっとやってる。
ただ、欲がないんで。
連載やってて終わったりするじゃないですか、そしたら誰も声を掛けてくれなかったら
ずっと何もしてなかたりするんですよ。1年間くらい。

―1年間も!?

うん。それはちょっと自分の性格がヤバイんかなって思ったりする。
何かこう、描きたくてしょうがない人もいるでしょ?俺はあんまりそんな事ないんで。
「描きませんか」って言われたら描くけど、自分から売り込んだりするのが苦手なんで。
自己アピールがね、昔から。
本当は単行本を買ってもらいたいんだけど、アピールするのが嫌で。
何だろうな、照れがあるのかな。ホントはそんなんじゃいけないんだろうけどね。

―受け身なんですね。

受け身・・・っぽいね。

―ただ、「こういうのやってみませんか?」って話がきたら、もっと面白くしてやろうと。

そうそうそう、まさにその通り。

―だけど話がなかったら・・・

そうそう(笑)ダメ人間なの。駄目なのよホント。


学生時代

―和田さんは漫画以外にもイラストとかデコメ(※1)とか色々されてますよね。

うん。わりと漫画以外の仕事をもらえたりして、恵まれてるなと思いますね。
むこうから話が来たらボクはやりますから(笑)
結局、面白いこと考えるのが好きなんですよ。ジャンル関係なく。

―漫画とは限らずに?

限らずに。

―そういうのって学生の頃からですか?

うん、昔から面白い話とかそういうのは好きでしたよね。

―じゃあ、文化祭の時とか実行委員になったり?

ないないない。そういう事はしないんだよね。

―やっぱり、受け身だから?
そうなんだよ。
やっぱりサブカルなんでしょうね。立ち位置が。
うーん、本流にはいない気がします(笑)
そんなもんじゃないんですか、皆だいたい小学校のクラスのまま大きくなってますよ。

―じゃあ、その頃は心の中で「もっと面白いことがあるのにな」って考えてた感じですか?

いや、一応言うのは言うんだよ。
だけど何ていうかな、1発言って人を笑かすみたいな。おいしいとこ取りみたいな(笑)
そういう性格かな。

―でも、タイミングは分かってたんですね(笑)

それは本能的なもんじゃないですかね(笑)


―お笑い番組とかよく見てたんですか?

普通かな。皆と同じぐらいだと思いますよ。
ただね、下ネタとかはあんまり好きじゃなかったんですよ。笑いとして。
単純に小学生とかが「ウンコ」とか「おしっこ」とか言ったら、おかしいでしょ?
ああいうギャグは好きじゃなかった、昔から。
「うん、あれはギャグじゃないな」と(笑)

―ただの言葉遊びみたいな?

そうそう。
だから、どちらかというとね萩本欽一さんがいるじゃないですか?
あの人の流れが結構好きやったんですよ。ドリフより。
欽ちゃんはそういう笑いはしないんですよ、下ネタ系は。

―坂上次郎さんと一緒にされてたときの?

うん、コントですよね。
何て言うかな・・・まぁ分かりますよね?(笑)ドリフターズの笑いとは違いますよね。

―それは小学生の頃ですか?

そうそう。
僕らの小学生だった頃の欽ちゃんはね、凄かったんですよ、やっぱり。
すごいセンスが良かったんですね。
昔は客いじりもやってなくて、ストイックなコントをしてたんですよ。

―でも、客いじりしないというか、読者にこびないような点では和田さんの漫画に通じるような気がします。

まぁ確かにこびるというか、説明しようと思えばいくらでも出来るじゃないですか?
ギャグは言葉でね。オチを入れたらイイんだから(笑)ツッコミ役も入れたらイイんだから。
基本的にはね、僕の漫画は全部ボケなんですよ。正常な人が1人も出てこないから。
そういうトコですよね、サービス精神が無いっていうのは(笑)
やっぱり、ツッコミがないとドコで笑ったらいいのか分かんないからね。

―置いてきぼりになってしまう読者もいるかもしれませんもんね。

で、結局どこでオチるの?って話になってしまうんだろうね・・・
でも、オチつけて普通に描いちゃうと、それは普通のギャグ漫画になるから。
それだと、あんまり面白くないからなって思うんだよね。

―やっぱり、普通に描くのは嫌だったんですか?何て言うか「こうあるべき」といったようなものに従いたくないというか・・・

「こうあるべき」の、ちょっと斜め上あたりの答えが好きなんかな(笑)
結局、ギャグって逸脱だからね。どこまで飛ぶかだけなんだけど。
その飛び方がセンス問われるわけでしょ?着地点が。
「そこまでいったらヤリすぎだよ」「でも、ここは足りないよ」っていう。
その良い具合のところ、それを見つけるのが気持ちイイんですよ。
それに尽きると思うんですけどね。

―ホントはこの辺りまでいきたいけど、読者がポカンとしちゃうから「この辺りでとめようか」
っていうのも?

そうそうそう。そういうのはありますね。

―たまにそのラインを超えたのも描いたりするんですか?実験的というか遊び心というか

それはやりますけどね。
連載している中ではやりますけど、単発の仕事ではやれないからね。
単発の仕事でやると「和田さんっぽくなんですけど」って言われるからね、逆にね(笑)

―そういうところで、全力で描けないと不燃焼なことはないんですか?

うーん・・・なんか、それは意図的にやるものじゃなくて、自然に出てくるもんだから。
あんまり意図的にするのが好きじゃないから。
その時、その時の気持ちで描いてるだけだからね。

―そういう自然に出てくる「閃き」を保つ為に、何か具体的なことをされてるんですか?

あー・・・あんまり無いんすよ(笑)
映画もそんなに見ないし、テレビ全然見ないし。
あの、ニュースの見出しってあるでしょ?あれだけで十分なんですよ。
見出しの中の単語を1つ拾ってそこから広げていくみたいなのはあるかな。それで完了。
だから、自分が漫画を作るにおいては何かを見て刺激を受けるっていうのは全然ないですね。
僕の場合は。逆に無い方がつくりやすいしね(笑)
影響されるとね、作れなくなるんですよ。だから人の漫画とかもあんまり読まない。


これからの和田ラヂヲ

―何か、漫画でこういう事をしてみたいっていうことはありますか?

漫画で?特にないけどな(笑)
でもちょっとストーリーっぽいのをやってみたい気はあるけどな。
単発でなくて連載で。主人公も決めて。
登場人物を動かしてみたいなって気持ちはあるけど。

―では、漫画以外には?

いや、さっきも言ったみたいに、自分からはやんないタイプなんだよねこれが(笑)
なんかね、みんなで何かをつくるってのが昔から苦手で。共同作業が。
やっぱり、絶対みんなで何かつくってたら、皆の気持ちが1つになるってことはまず無いと思うのよ。「この結末じゃないのにな」って思っても妥協しなきゃダメでしょ?モノづくりって。
そう気持ち悪く終わっちゃうのが凄く嫌なの。

―納得いかない作品になっちゃいますもんね。

そうそう。多分そんなことになるでしょ?
とはいえ、編集の方に「ここはちょっと直した方がイイんじゃないですか?」って
言われたら、すぐに直すんですよ(笑)実はね。
こだわりがあるようで、なかったりもするんですよ(笑)
まあ、言ってることはメチャメチャですけどね(笑)

―ははは(笑)

信頼してるっていうのもあるんですけどね、担当の方を。
だから2人までじゃないですか?モノをつくるのは。
3人になると、やっぱりケンカがはじまるってわけで。


最後に読者へ・・・

―最後になんですが、読者に何か伝えたいこととかありますか?

伝えたいこと?(笑)そんな熱い思いはないけどな、オレは(笑)
うーん、でもギャグ漫画をもっと読んで欲しいってのはありますよね。
やっぱり紙面の中でギャグ漫画の立場が弱いってのはあるでしょ?

―あぁ、確かにお口直しみたいなところはありますよね

まぁ、おかず的なとこはありますわな。なかなかご飯にはしてもらえないですよね。

―なかなか巻頭カラーっていうのも無いですしね・・・

そうなんだよね、よっぽどの大ヒットでもない限り。
だから・・・あっそうか!ヒットすればいいのか!(笑)

―ははは!(笑)

そっか、自分のせいか。人のせいにしちゃ駄目だな。
でも今からヒットすることないだろうな・・・

―そんな事ないですよ、いつ映画化の話が来るかも分かりませんし(笑)

アニメ化とかね!そうして自分の手から離れていくわけだ(笑)
結局、世の中何が起こるかわかんないしね。特にギャグなんてね。



和田ラヂヲ

'64年  2月19日生まれ 愛媛県松山市出身 現住
'91年  9月「イキナリどうだ」(週刊ヤングジャンプ)でデビュー
    10月「スカの群れ」(週刊ヤングジャンプ)を連載開始
'00年  9月「梅干の種飛ばし」高松大会・男性の部優勝 (記録16m63cm)
    11月「梅干の種飛ばし」全国大会・男性の部優勝、見事日本一の座に輝く
'07年  3月「テンピュールベット購入」三越松山店にて

-連載中-
「ラヂヲの時間」(ビッグコミック・スペリオール)
「ラブラドール・和田ラヂヲ ~かわいがってね~」(ビジネスジャンプ)
「和田ラヂヲの 徐々にポイマン」(週刊ファミ通)
「和田ラヂヲの 苦悩の旋律」(月刊 MTV PAPER)


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